消防士を辞めて大丈夫なんだろうか?
悩んでいる消防士の声をよく耳にします。
安定した公務員の立場を手放すことに、不安を感じるのは当然のことです。
しかし、最近では若手消防士の退職は珍しいことではなくなっています。
ただ、10年、20年と働いてからの退職となると、特に家族がいる場合はその決断には相当な勇気が必要です。
それでも、退職を決断した多くの消防士は退職後に後悔することは少なく、むしろ生き生きと新たな道を歩んでいます。
私自身、消防士として15年間勤めて退職しましたが、その決断に後悔は全くありません。
むしろ、自分らしい人生を歩むための大きな一歩だったと感じています。
今回は私が退職を決意した理由と、その道のりについて包み隠さずお伝えします。
退職に悩んでいるあなたの未来を切り開くためのヒントにしてください。
退職を決めた時期から退職を伝えるまで
退職を決めたタイミング
私が退職を決めたのは、辞める3年前のことでした。
この時期にちょうど辞めるきっかけが生まれました。
その時から、心理学のカウンセリングを活かした転職相談と起業に向けて準備を始めました。
SNSでカウンセリングからの転職相談を受けることで経験を積み、この3年間を計画的に使いました。
早めに退職を決意したことで、将来の目標を明確にし、それに向けた準備を進めることができました。
特に家族がいる場合、早めの計画が重要です。
働きながらの準備には予想以上のエネルギーが必要で、計画がなければストレスや焦りを感じてしまうこともあります。
私は家族の理解もあり、そんなに感じることは少なかったですが、焦りからくるストレスはやはり感じることが多々ありました。
退職して後悔していない消防士の多くは、辞めた後に何をするか、何を実現したいかが明確に決まっていました。
私もその一人であり、しっかりと準備をすることでスムーズに次の一歩を踏み出すことができました。
退職を伝えたタイミングと背景
退職の意思を伝えたのは、出張所で勤務していた時の所長に対して退職の4ヶ月前でした。
「少し早いかな」と感じる部分もありましたが、避けられる異動は避けたかったため、この時期に伝えることにしました。
また、所属の同僚には1月5日に退職の意思を伝えました。
早めに伝えることにためらいもありましたが、1月に来年度の異動に関する会議があり、そこで退職を報告する必要があったからです。
同僚が人づてで退職の話を聞くことになるのは、残りの勤務期間の雰囲気を考えると良くないと思い、自分から伝えました。
退職を考えている方に知っておいてほしいのは、職場の体制やスケジュールの都合で、自分の意思とは関係なく早く伝えざるを得ない状況になることもあるということです。
ただし、所属以外の人には自分から退職のことを伝えませんでした。
来年度の人事が自分には関係ないと割り切れる方であれば、私のように早めに伝える必要はないでしょう。
自分のペースで進められる部分は、自分の気持ちを大切にするのが一番です。
退職を考える際には、自分に合ったタイミングと方法を見つけ、周りの状況も考慮しながら計画的に行動することが重要です
はっきり言って、所属どころか1人に伝われば噂はどんどん広がるので、言わなくても勝手に退職することは伝わります。
消防士が退職を決意した3つの理由
退職を決意した理由は3つあります
- 目標を見失い将来が描けなくなった
- 職場環境の改善が望めず、職員の扱いに限界を感じた
- 新たに見つけた夢と転職アドバイザーへの道
目標を見失い将来が描けなくなった
退職を決意した最初のきっかけは、これまで持っていた目標を失ってしまったことでした。
消防士といえば火消しの仕事が本分ですが、世間一般では救急やオレンジの救助隊のイメージが強く、私は本来の「消火」にもっと力を入れ、向上させたいと考えていました。
そこで様々な提案や訓練を行ってきましたが、残念ながらほとんど実現することはありませんでした。
ここまで消防は現状維持が好きなんだと絶望感を感じました。
例えば、静岡市での火災で命綱を使用せずに進入していた隊長が処分を受け、その処分が「不適切だ」と隊員が訴えたニュースがありました。
これに対して、現場活動をしている人間ではなく、市長がロープをつけていれば殉職事故は避けられたと答えています。
同様のことが私の所属でもあり、現場活動に違和感を持ちながらも、上層部に理解されず何も変えられない・・・
その現実に直面し、私は次第に「これから何を目標にすればいいのか」と虚無感を抱くようになりました。
さらに、消火に特化した所属から異動させられたことで、自分が情熱を注いでいた目標が完全に失われ、将来のビジョンを描けなくなってしまいました。
このように目標を失い、将来に対する希望が見えなくなったことで、退職を決意する大きな理由の一つとなりました。
職員の扱いが悪く改善される可能性を感じなかった
退職の決意を強くした背景には、市民へのアピールやクレーム対応ばかりに重きを置き、職員を大切にしない体制がどんどん強まってきたことがありました。
特に消防隊、救助隊、救急隊間の相互理解が乏しく、特に救急隊員は激務を強いられ、睡眠時間も確保されていない上に、有給もほとんど取れない状況が続いていました。
人手不足で休みもままならない中、改善策も示されず、ただ「受け入れてくれ」と言われるのみで、上層部に働きかけようという姿勢も見られませんでした。
結果として、見切りをつけた若手が次々と退職し、悪循環が発生していました。
さらに、クレーム対応においても、表面上は対応してくれるものの、隊員に責任があるように扱われることが増えていきました。
このような環境で、自分の未来を見出すことができなくなってしまいました。
新たに見つけた夢と転職アドバイザーへの道
私は「人助けをしたい」という気持ちを持ち続け、消防士として新たな道を模索していました。
しかし、現場活動に限られる消防の役割に限界を感じ、被災者や傷病者のその後のケアが必要だと強く思うようになりました。
特に、メンタルの問題で救急を利用する方々を見て、「もっと事前に支援できないか」と考えるようになり、カウンセラーとしての道に興味を持ちました。
さらに、消防職員の中にもメンタルを病んでしまう人が多く、根性論で片付けられてしまう現状に疑問を感じ、心のケアが必要だと感じました。
その中で、特に消防士の仲間がメンタルを崩し、仕事を変えたいと悩んでいる姿を目にすることが増え、私自身もその悩みが痛いほど理解できました。
そこで、「次のキャリアを探す手助けをしたい」という思いが強まり、カウンセリングもできる転職アドバイザーを目指すことにしました。
カウンセラーになるためには、消防を離れ、公務員としての安定を手放す必要がありましたが、「本当にやりたいこと」を優先する決断をしました。
この決意により、新たな一歩を踏み出し、カウンセラーのスキルを活かしながら転職アドバイザーとして人々を支えていく道を進むことができたのです。
消防士が退職する際に知っておくべき3つの注意点
私が辞める時に困ったことを注意として伝えておきます
- 消防士には失業手当がない
- 退職を悪くいう人は絶対にいる
- 有給は働く人の権利だと知らない人が多い
消防士には失業手当がない
消防士を退職するときに必ず知っておくべき重要なポイントは、失業手当がないということです。
消防士は公務員であり、公務員は雇用保険法の対象外となっているため、民間のような失業手当を受け取ることができません。
その代わり、公務員には退職手当が支給され、これが失業保険の代わりとしての役割を果たします。
基本的なルールは失業保険と似ていますが、注意が必要です。
基なぜなら、職場の人やハローワークの職員ですら詳細を理解していないことが多く、自治体に問い合わせるように丸投げされることがあるからです。
なかなか電話が繋がらない上に、話をした途端に、自治体で聞くように言われました。
私の場合は退職後すぐに個人事業主となったため、この制度を利用しませんでしたが、長期間働かない予定の方は、しっかりと手続きを行い、受け取れるものを確実に受け取るようにしましょう。
また、勤務年数によっては退職手当が失業保険より少ない場合があり、その差額を補填する「失業者の退職手当」が支給されることもあります。
退職後の生活を見据えて、もらえる支援を確実に得ることが大切です。
退職を悪くいう人は絶対にいる
退職の際には、必ず悪く言う人が出てきます。
私の場合、予想より早く退職を伝えなければならない状況になりはしましたが、所属以外には退職を伝えませんでした。
それでも、どこからか噂が広がり、私が言ってもいないことが流れていました。
親しい人からも借金や離婚が原因で辞めるんだろと意味不明な話を聞かれることが多くありました。
私は特に目立つことをしてきたわけではありませんが、それでも悪く言われるのが現実です。
退職する際には、悪く言われる覚悟を持っておくことが大切です。
しかし、辞めてしまえば、もう会うことはありません。
私は「もう会わない人に何を言われても構わない」という気持ちで乗り越えましたが、気にする方は退職を伝えるタイミングをギリギリにするのが良いでしょう。
有給は働く人の権利だと知らない人が多い
退職時によくある問題として、有給休暇を使えないと言われることがあります。
私も実際、最後の1週間以外は普通に勤務していました。
本来なら最後の1ヶ月は全て有給を消化するつもりでしたが、「有給は使えない」と当たり前のように言われ、唖然としました。
あまりに理解がなく、説明するのも億劫に感じてしまいました。
これは本当におかしなことです。
退職を決めた方には、私と同じ思いをしてほしくありません。
特に心が疲れて退職を決めた方は、はっきりと「ここからは有給消化します」と伝えて休んでください。
理解がない職場では、開き直って退職代行を使ってしまうのも一つの選択肢です。
消防士が退職前に準備して良かった3つのこと
年という時間があったからこそ、辞める前に様々な準備を進めることができました。
その中でも、特にしておいて良かったと思うことが以下の3つです。
- 生活資金を確保するためにお金を貯めておいた
- 新しい環境でのサポートを得るため人脈を広げた
- スムーズに次のキャリアをスタートするための準備をした
生活資金を確保するためにお金を貯めておいた
辞めた後に転職を考えていなかったので、生活する資金は絶対必要でした。
まず、家庭の月々の支出を見直し、3年間生活できるだけの資金を計算しました。
これで毎月いくら貯金すれば良いかが明確になり、計画的に貯金を進めることができました。
私は貯金が得意ではなかったので、給料が入るとすぐに貯金用口座に移し、手をつけないようにしていました。
自分が辞めるために貯金しているので、家族がそのせいで負担にならないようにしました。
そのために徹底したことは
- 飲み会は参加しない
- 服は最低限しか購入しない
もともと物欲が少なかったこともあり、この二つを守ることで無駄な支出を避けられました。
退職後、最初は資金面で苦しかったですが、貯金のおかげで苦しい時期を乗り越えられ、家族に負担もかけなくて済んだので、貯金は何よりしててよかったと感じました。
新しい環境でのサポートを得るため人脈を広げた
消防士をしているだけでは、はっきり言って人脈は全く広がりません。
公務員から個人事業主に転向する際、知識も繋がりも全くなかったため、セミナーに参加したり、SNSで積極的に活動している人に声をかけたりして、人脈を広げる努力をしました。
最初は冷たくされるのではないかと心配もありましたが、実際には親切な方が多く、様々な知識を教えてもらえました。
今の時代は、リアルなつながりとネットをうまく活用することで、地元だけでなく様々な地域や職種の方と繋がりやすく、知識の幅を広げるチャンスが多くあります。
ただし、こちらが知識がないことをいいことに騙そうという人もいます。
また、騙そうではなく、お客として営業をかけてくる人もいます。
多少の失敗も経験として必要ですが、自分の直感を信じながら慎重に人脈を広げていくことが大切です。
スムーズに次のキャリアをスタートするための準備をした
お金を貯める必要はありますが、次にやりたいことへの自己投資も欠かせませんでした。
資金に余裕がなかったため、必要なものを慎重に選び、本当に価値があるものにのみ投資しました。
特にお金や税金の知識は全くなかったので、経済面でのスキルを身につけるためのセミナーへは積極的に参加しました。
自分でしっかり調べたのもありますが、先ほどの人脈を広げたことにより、質のよい講座やセミナーを紹介してもらうことができたこともあり、低予算で今の仕事の質を上げることができました。
無料のセミナーも多くありますが、お金をかけた方が質の良いものは多かったです。予算に応じて、お金をかけるところ、かけないところを選ぶことは大切だと感じました。
ただし、この前にとても大事なことがあります。
それは、必ず自己分析をしておくことです。
自分なりの軸を持って、行動しなければ、余計なことに時間を使ってしまうことになります。
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自分で自分を客観的に見るのは非常に難しいです。
辞めようと悩んだら診断してみると気づかなかった自分が見えてくることがあります。
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退職を成功させるために大切なこと
今回は私のリアルな退職までを伝えさせてもらいました。
今これを読んでくれているあなたは退職を考え、悩んでいる人が多いのではないでしょうか。
退職は大きな決断ですが、しっかり準備をしておけば不安を最小限に抑えられます。
お金を貯める、人脈を広げる、次の仕事に向けた準備をする—これらのステップを踏むことで、新しい道に自信を持って踏み出せます。
あなたが決意し、行動すれば、必ず退職してよかったと思うことができます。
困難な決断でも、計画的に行動すれば必ず良い結果に繋がります。
後悔のない退職をしてください。
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