【新消防士へ】不安でたまらない消防学校〜6ヶ月間の生活と訓練を元消防士が解説〜

ついに4月から消防学校に入るけど、訓練や生活についていけるんだろうか?

消防学校の情報は今でこそ増えてきています。

でもその多くは、過酷できついものだという情報で、新消防士としては消防士に慣れた喜び以上に不安も大きいものでしょう。

今回はそんな不安を少しでも解消するために、消防学校での6ヶ月を伝えていきます。

目次

消防学校のカリキュラム

消防士の仕事は、火災や事故等の現場で、人命救助や消火活動を行います。

災害現場では、新人だから分からないでは済まない命の危険があります。

そこで、自分の身は自分で守り、任務を遂行するために、初任教育の期間中に一人前の消防士を目指します。

カリキュラムの細かい内容は本部によって、若干の違いはありますが、「消防学校の教育訓練基準】が定められており、初任科教育を終了すれば、警防業務ができるように組まれています。

実際は、本部によって違うことも多いため、警防業務が全てできるようになるわけではなく、配属されてから学ぶことが多くあります。
ただし、基本を知ってるかいないかで身につくスピードには大きな差がでます。

具体的には下記のようなカリキュラムが組まれています。

6ヶ月の全寮制で、最低800時間の以上の授業が行われます。

本部によっては最後の1ヶ月は所属先で実務研修になる場合もあります。

スクロールできます
種目科目時間数
基礎教育倫理5時間
情操4時間
法政通論15時間
消防法12時間
消防制度8時間
服装と勤務28時間
理科学15時間
実務教育予防広報20時間
危険物8時間
消防用設備12時間
査察24時間
建築10時間
安全管理12時間
特殊災害と保安10時間
火災防ぎょ30時間
火災調査15時間
防災22時間
救急50時間
消防機械・ポンプ10時間
実技訓練訓練礼式50時間
消防活動訓練80時間
救助訓練40時間
機器取扱訓練50時間
消防応用活動訓練80時間
体育55時間
その他実務研修35時間
選択研修50時間
行事・その他50時間
合計800時間
参考:消防学校の教育訓練の基準

見てもいまいち分からないかもしれませんが、安全管理や消防業務全般の基礎知識、現場活動について学び、基本的に活動ができる土台を学んでると思ってください。

学生ということにはなりますが、学費は必要なく、給料が支給されます。

私の時はまだ正式の消防士扱いではなかったため、給料がかなり少なく手取りで12万程度でした。今は初めからしっかりもらえるところも増えています。ただ、消防学校にいるのでお金を使うことがあまりないので、少なくてもなんとでもなります。

授業は【座学】と【実技】分かれており、基本的に午前が座学、午後が訓練になっています。

後半になってくると座学が減って訓練漬けになってくるので、前半にしっかり体力をつけていきましょう。

消防学校1日のスケジュール

1日のスケジュールは決まっているので、しっかり時間を守って行動する必要があります。

消防学校によって多少の時間の違いはありますが、おおまかな1日のスケジュールは、下記のようになっています。

・6:00〜起床・点呼・錬成

消防学校の朝は6時の起床から始まります。

起床して、すぐに布団をきちんと片付けなければなりません。

布団を片付けたら、活動服に着替え、グラウンドに集合です。

点呼を行い、体操やランニングを行います。

寝起きだからといって、ダラダラすることは許されるはずもなく、あくびが見つかった時には、朝からペナルティとして腕立て伏せをさせられるようなこともあります。

これは、災害はいつ起こるか分からない中で、いつでもすぐに行動できるための訓練でもあります。

どうせ外だし確認もされないから、布団は適当でいいやというのも教官は見逃してくれません。
徹底的にきちんとするを身につけさせられます。

・7:00〜朝食・通常点検・授業の準備

点呼が終われば、朝食になります。

朝からしっかり運動して食べるので、最初は気持ち悪くなるようなことも…

その後は、【通常点検】がまたグラウンドで行われます。

通常点検は身だしなみや消防手帳の確認が行われます。

この通常点検でも服装の乱れや隊列のみだれで腕立て伏せをさせられるところもあります…
最初の頃はこの数時間で3桁の腕立て伏せをこなしていたこともありました…

通常点検が終わると、学生が授業の準備物を放送してくれるのですみやかに準備して送れないようにいくようになります。

・9:00〜午前の授業

9時から12時までが午前の座学・訓練になります。

1時限は50分で10分の休憩があり、午前中で3時限をこなします。

午前中は座学が中心です。後半になってくると訓練になってきます。

座学は、消防法などの法律的知識、火災等の基礎知識、安全管理といったことを学びます。

5分前行動が消防学校では基本です。
朝からクタクタになってることもありますが寝てはいけませんよ。

・12:00〜昼食・休憩

約1時間の昼食・休憩になります。

しかし、午後の授業は訓練になるため、準備をして集合となると実質休憩時間はほぼないと思っておいたほうがいいでしょう。

・13:00〜午後の授業

13時から17時までが午後の座学・訓練になります。

午後は訓練や体力錬成が中心で4時限をこないしていきます。

1時限は午前と同じ50分とはなっていますが、訓練の場合、時間が明確ではありません。

ただし、始業が遅れることは許されません

消火・救急・救助に関する様々な基礎訓練や想定訓練といった実践的な訓練を行います。

訓練の始まりに点検が入ります。
これも身だしなみや準備物が不足していたりといったことがあると腕立て伏せをさせられることもあります。

・17:00〜夕食・入浴・自由時間

ちょっと早いと感じるかもしれませんが、夕食の時間になります。

所属での勤務になってからもですが、消防の食事は普通より早い時間になります。

これは食事時は火を使うことも多く、また食事中に高齢者の救急事案が増えるので早めにという理由もあります。

夕食が終われば基本的に自由時間になります。

人それぞれの過ごし方をしていますが、体力錬成を行ったり、ロープ結索などの訓練復習をしている人が多いです。

学校によっては20時ごろに自習時間を設けてることもあり、それまでに入浴を済ませておく必要があったりと消防学校によって違いもあります。

この自習時間に騒いでいて、突然訓練が始まった日もありました…

現在、生活面は昔ほど厳しくなく、学生の自主性に任せられている部分が大きくなっています。

ただし、ハメをはずして、信頼を失うと一気に厳しくなることもあるので、常識の範囲でしっかり過ごしましょう。

・22:00〜点呼・就寝

就寝前に寮室前で点呼があります。

この時も、各寮室が整理整頓されているか確認されることもあるので、最後まで気を抜かないようにしてください。

これが終われば、就寝ではありますが、夜に勉強する人がいたり、班員と話したりとある程度自由です。

スケジュールは自治体によって若干の違いがあります。

心配すぎて、知っておきたいと思う新消防士の方は通うことになる消防学校のHPで確認をしてみてください。

生活面の厳しさは教官によって、差が大きいのでHPでも分かりませんし、年度によって教官も変わるので、先輩の話もあてにならないことが多く、運です…

学校を効率よく少しでも快適に過ごしたい人は下記の記事を参考にしてください。

消防学校での寮生活

消防学校の寮生活は自治体によってルールの違いはありますが、基本的には時間が決められており、厳しい生活です。

消防学校に入学すると、5〜6人の班に分けられます。このメンバーが訓練では同じ小隊として活動するとともに、同じ部屋で生活することになります。

寮室は、自治体によって半個室になっていたり、カーテンで仕切られていたりといった部屋になっています。

私の消防学校は仕切りも何もありませんでした…

メンバーは、消防学校で決められており、途中で入れ替えといったことはなく、半年間同じです。

そのため、気の合わない人と同じになるようなこともありえます。

厳しい訓練を共に行うので、絆が生まれやすいと思われれるかもしれませんが、疲れた状態で人間の本性が出てうまくいかないといったことは少なくありません。

社会人として、大人の対応を身につける機会と思って、乗り切ってください。

人間関係の難しさは配属先でも起こります。
職場には一癖も二癖もある上司がいますので、しょせん同期ぐらいの気持ちで過ごしてください。

寮室以外の洗面所、お風呂、トイレ、食堂等は共有です。

また、洗濯機も共用のため、学生の人数次第では取り合いになります…

インターネットでは、携帯持ち込み禁止、マイカー禁止等不安になることが書かれてるかもしれませんが、そんなことはありません

自治体によってはいまだに禁止のところもあるのはありますが、携帯電話は持ち込み可能な消防学校は多くあります

車で通うのも地方の消防学校ではほとんどです。

お酒は最近厳しくなってきていますが、タバコも吸えますし、生活面では、時間を守ったり、細かい消防学校のルールを守れば、それほど厳しい制限があるわけではありません。

食事や入浴、就寝時間は決められていますが、訓練の時ほどタイトではなく、ある程度の時間的余裕を持っていくことができます。

細かいルールの例をあげるとしたら、教官室への入室時のノックの回数、入ってからの申告、屋外では3歩以上かけ足といった独特のルールがあります。

6ヶ月間、平日の外出は基本的にできません。

外出に関しては学校によって、週に1回はでてもよかったり、全く出られなかったりとするので、外出できる消防学校だったらラッキーぐらいに思ってください。

私の本部では学生の普段の生活を見られ、外出OKかどうか判断されていました。

金曜日の授業が終わると、学校を離れることができます。

日曜の夜に学校に戻ることになります。

金曜日にそのまま帰れるところもあれば、所属先に毎週報告しなければいけないところもあります。
どちらであったとしても、自由の身であることに変わりありません。

今まで共同生活をしたことがない人にとっては、最初は戸惑うかもしれませんが、自然と慣れていきます。

職場に配属されてからも、共同生活が消防では基本なので、慣れていってください。

月別消防学校生活

消防学校の生活は、時期に関係なく座学・訓練漬けの日々です。

とは言え、流れや時期的に気をつけることもあります。

4月・5月

入校したてのうちは、生活に慣れることが最優先です。

また、だらしなさが残る人はきちんとする癖をつけましょう。

そうでないと腕立て伏せのペナルティがかなり多くなってしまいます。

この時期はまだ座学が中心で、訓練は本当に基礎的なことが中心になります。

訓練は規律訓練といって、敬礼であったり、行進であったりといった訓練が中心です。

名目は舞台行動を確実軽快にし、厳正な規律を身につけさせるものとなっています。

正直、消防士になるんだから消火等の訓練をするんだと意気込んでると
面食らいます。
そして、正直にいっておきますが、実際勤務しだすとほぼしません…

ただ、上記のカリキュラムに書いていますが、50時間もの時間をこなすことになっていきます。

それが終わるとロープの結索やポンプ車操法、資機材の取扱いを行います。

ロープ結索は、所属に帰ってもかなりやらされます。ただやらされる時に、消防学校で何やってきたんだと1番言われることでもあるので、しっかりやっておくことをおすすめします。

資機材もものによっては、全く使わないものも多くあります。

ただし、ホースはもちろん空気呼吸器やはしごは重要なので、絶対にしっかり身につけておいてください。

6月・7月

生活にもだんだん慣れてくる頃なので、今一度気合を入れ直してください。

この時期に、慣れて手抜きを覚えてくることを教官は知っています。

そのため、厳しくみるようにされる場合もあります。

また、訓練も基礎的なことから、実践的なことも入ってきます。

訓練ではこの時期が1番きついです。

まだ体が暑さに慣れていないにも関わらず、実践的な訓練が増えて、防火衣を着装しての訓練が増えます。

今は暑熱順化訓練というのも行われるようになってきてるので、暑さ対策をしておくことも大切です。

私の時は、この時期に訓練中に倒れる人が続出していました。
熱中症で大変なことになった学生が出てからは教官もシビアにはなってはいます。
とはいえまだまだ厳しくしてるところもあります。体に支障がでることにもなりかねないので、頑張りたい気持ちや言えない空気に負けず、体調管理はしっかり自分でしてください。

8月・9月

生活面ではもう特に問題がない時期になっているはずです。

自然に規律ある行動ができるようになって、もう苦痛とまでいくことはないでしょう。

訓練は最終段階に入ってきていますが、ここ数年かなり暑く、しっかり水分補給も言われるので、きついですが、こなしていけるはずです。

また消防学校によっては、所属での訓練を行うところもあります。

所属の訓練指導者は、慣れた消防学校の教官とは違ってとまどうこともあるかもしれませんが、卒業したら一緒に働く人になるので、親密になれるように訓練を頑張りましょう。

まとめ

消防学校の生活は決して楽ではありません。

カリキュラムに1日にスケジュールと決まっており、最初はかなり戸惑うこともたくさんあるでしょう。

しかし、共同生活をで1人じゃない、みんなとすることで乗り越えることができ、団結力も生まれます。

団体行動が苦手な人もいるでしょう。

ただ、消防士になると1人の時間が仕事中にとることはほとんどできません。

消防学校中にしっかり慣れておいてください。

実際に勤務が始まれば、休みも多いので、1人の時間を休みの日にとれます。

厳しい6ヶ月ですが、乗り切って所属に戻って活躍できるようになってくださいね。

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