消防士は精神的にも強いイメージがあるからうつ病とは無縁なのかな?
消防士は精神的にも強いイメージがあるから、うつ病なんて無縁なのでは?」
そう思う人は多いかもしれません。
しかし、現実はそう単純ではありません。
消防士の仕事は決して楽なものではなく、過酷な訓練や現場での活動、そして理不尽な人間関係に限界を感じることがあります。
実際、うつ病に悩む消防士は少なくないのです。
この記事では、消防士がうつ病に陥る理由や対処法について解説します。
この記事を読んで分かること
- 消防士がうつ病になる理由
- うつ病になった際に取るべき
- うつ病に出世に与える影響
- うつ病になってしまった場合、退職すべきかどうか
この記事を読むことで消防士のうつ病のリアルを知ることができます。
親子でうつ病経験があるからこそ伝えたいこと
私はかつてサラリーマンとして働いていた頃、うつ病を経験しました。
仕事に行くことが不安で、夜は眠れず、朝は出勤が苦痛で仕方がない日々が続きました。
電車に乗るのも辛く、「このまま消えてしまいたい」と思うこともありました。
さらに、私の父もまた消防士として働く中でうつ病を発症しました。
現場を離れて日勤の仕事に変わった際、人間関係のストレスに苦しみ、睡眠薬がなければ眠れない状態に。
倒れて病院に運ばれることも何度かありました。
親子でうつ病を経験したからこそ、私は伝えたいことがあります。
「うつ病になるほど働く必要はない」
将来、何十年も働く中で心をすり減らしてしまうのは、あなたの人生にとって決してプラスにはなりません。
時には逃げることも、自分を守るための大切な選択です。
どうか、最悪の決断を避けるためにも、自分の心に正直でいてください。
仕事で人生を棒に振る必要は絶対にありません!
消防士はうつ病になるのか?
消防士だけのデータはありませんが、公務員でうつ病等の精神疾患を抱えた人は10年間増え続けています。
私の妻は教員をしていますが、教員にもうつ病で休職中の職員は多くいるとのことです。
上記のグラフは、毎年一般財団法人公務員安全衛生推進協会が調査しているものです。
令和4年度調査の結果
「精神及び行動の障害」による長期病休者は、10万人当たり2142人であり、令和元年度より239人(12.57%)も増加しており、10年前の約1.8倍、15年前の約2.1倍になっています。
地方公務員健康状況等の現況の概要より引用
これは消防だけではなく、公務員全体ではありますが、公務員がいかにブラックであるか分かってもらえるデータではないでしょうか?
つまり、消防士だけではなく、公務員はうつ病が非常に多いということになります。
すでに消防士として働いているあなたの本部ではどうでしょうか?
そしてあなたはうつ病にならないと言い切れますか?
消防士がうつ病になる理由
消防士がうつ病になる理由は大きく二つです。
- 惨事ストレス
- パワハラ
惨事ストレス
過酷な現場・目を覆いたくなるような凄惨な現場に遭遇します。
その中で、自分の責任・過失により惨事ストレスになるのです。。
私の同僚の中には、火事現場で炎に囲まれ命の危険を感じたり、緊急消防援助隊としてでひどい光景を目にしてうつ病になってしまった人もいます。
現場経験の多さに関わらず、10年以上勤務してPTSDからうつ病を患った人もいます。
年数が経ったからといって安心できるものではなく、心のケアは非常に重要です。
近年、ストレス軽減のためにデブリーフィングやデフュージングといった対策が取られていますが、これらが十分に理解されておらず、かえってストレスを助長してしまうこともあります。
いまだに根性論が蔓延しているのも、心のケアが進まない理由でもあります。
パワハラ
パワハラはいまだに根強く残っていて、消防という特殊な勤務上、その基準が非常に曖昧です。
- 年上が偉いという風潮
- 高圧的な態度で部下をいじめる上司
- 論理的で理由の説明もできない根性論
はっきり言って、こんな訳分からない上司や先輩に嫌われたところでなんの問題もありません。
しかし、初めて働く職場で他を知らない若手は我慢してしまうのです。
怒られているうちが花だとフォローもせず、むしろ認めている上司も多数存在します。
目に見えて分かる暴力はほぼなくなっています。
その分、無視したり、怒鳴られたりといったことが増えてしまっています。また特定のみで気づかれないようなケースもあり、陰湿化してるとも言えるでしょう。
忙しく・責任が重い仕事の押し付け
パワハラほどは多くはありませんが以下のような理由もでうつ病になる人もいます。
- 膨大な仕事を押し付けられる
- 大きな責任を負わされる
- 責任を被らされる
私の父はこのパターンでうつ病になりました。
現場の第一線で働いていた父は日勤の仕事に回され、出世のためと称して大量の業務と重い責任を課されました。
寝る間を惜しんで、仕事をしていました。
そうなるとどうなるか…
当然キャパオーバーになります。
趣味を楽しむ時間もなくなり、休みの日でも仕事の事ばかりが頭にあり、息抜きができなくなってしまったのです。
その結果、睡眠障害を患い、病院に行ったところうつ病の診断をされることになってしまいました。
私の本部ではこういうことがよくあり、現場希望の人が予防係に、予防係希望が現場になんてことは当たり前でした。もちろん全員の希望は通らないのですが、何年も他部署への願いを出しても通らないことは多く見られました。
うつ病だと思ったらどうするべきか?
もし自分がうつ病かもしれないと感じたら
迷わず病院に行きましょう。
病院にもよりますが、うつ病の診断を受ける可能性は高いです。
悩み続けて心をさらに壊してしまうことはありません。
うつ病の診断を受ければ、90日間の病気休暇を取得することができます。
「病気休暇」=「特別休暇」
になりますので、職場に復帰できるならあなたの職歴に傷がつくことはありません。
休暇中には信用できる上司に相談し、そのストレスの原因になる人や状況を改善してもらうようにしましょう。
自分が上司に報告することで職場に迷惑がかかるなんて考える必要はありません。
うつになった状態と同じ環境にはもうならないとも限りませんが、少しの間は問題なく過ごせるはずです。
また年数によって、精神状態、人間関係は変わってきます。
どうしようもないこともありますが、辞めるつもりがなければ心を壊す前に動きましょう。
職場復帰をしても、その後、またうつ病を繰り返す人もいます。
病気休暇中には、心のリフレッシュと共に、本当にこのまま続けるのがいいのか考えましょう。
パワハラに対処する場合
消防という組織は残念ながら、隠蔽体質が根強いです。
あなたが何も持たずに、「パワハラだー」と言ったところで何も起こりません。
それどころか余計にパワハラがひどくなる場合もあります。
では隠蔽されないためにはどうしたらいいのか?
- ボイスレコーダーまたはスマホで録音
- 日記等にパワハラの言動を時系列で記録
- 暴力が合った場合は、病院で診断書を取得
これらを必ず行って証拠を確保しましょう。
言動ではなく、無視するという手段をとってくる人もいます。
その際も、どういった時に無視をされたのか記録をしっかりとっておくことは重要です。
実際、証拠不十分であからさまなパワハラがあったにも関わらずお咎めがないようなケースの方が多いです。
職場にパワハラ担当がいても絶対に言わない!
このパワハラ担当が仲間になってくれるとは限りません。
よほど信頼できる人の場合のみ相談しましょう。
私が相談した担当は、正しいパワハラの対策を全く知らず、パワハラの張本人にいきなり話をしてしまい、必要以上の問題になりました。
そしてその結果、異動になりました。私がです。
パワハラをした方ではなく、された方が異動させられる…
これが消防の現実です。
パワハラ担当がない本部も多いでしょう。
しかし、あったからといってまず機能していないと考えましょう。
相談するべきは頼りになる人であって、担当者ではありません。
他の配属先の人でも構いません。
パワハラする人は他のところでもパワハラをしていて、必ず同じ苦しみを味わって我慢している人がいます。
なので慎重に証拠を集めれば、かなりの証拠が集まります。
無能な上司・先輩に人生を潰されないように!
消防士がうつ病になったら出世できないのか?
前述で病気休暇は特別休暇で職歴には傷がつかないと説明しました。
パワハラを受けてうつ病になり、病気休暇で休んでもその後、出世は問題なくできます。
また、パワハラしている人は職場で煙たがられている可能性が高いです。
そのため、上司との関係性が悪くなる可能性も低いでしょう。
民間企業の場合、90日も病気休暇を取ることは現実的には難しく、出世の道は厳しくなるかもしれませんが、公務員は出世の面では「守られている」と言えます。
病気休暇で症状が改善せず、休職となると出世に影響が出てくる可能性があります。
休職は分限処分の対象になるからです。
しかし、まだ消防の組織では潰れてしまうやつは使えないみたいな風習が残っています。
なので「あいつは折れた」と出世コースから外されてしまう人もいます。
ただ、この流れも本部によっては変わってきています。
何よりうつ病で休職したからといって、「ダメ人間」なんてことは絶対にありません。
実際、心を病んだ人のほとんどは優しく仕事のできる人です。
たまたま環境や人間関係に恵まれなかっただけなのです。
心が病むようなことがあったにも関わらず、消防士として残ってくれたあなたこそ上司になるべき人間です。
私の父はうつ病経験のある上司として、寄り添った対応をしていました。
うつ病になってまで消防士でいるべきか?
消防士に未練がない方のブログやSNSを見ると即座にやめるべきと見ることが多いかもしれません。
私自身も、冒頭で伝えたようにうつ病になってまで働く必要はないと思っています。
しかし、
- あなたに家族がいる場合
- 消防士という仕事が好きだという場合
- 転職には不安しかない
とやめるの悩んでいる人もいますよね。
まずは、落ち着いて今の状況を整理して冷静に考えましょう。
- すぐに辞めた方がいいのか?
- スキルを身につけるまで耐えるのか?
- 仕事は好きで辞めたくないので、職場環境を変えてもらえないか?
追い詰められてるからこそ、しっかり検討してください。
本部によりますが、パワハラの場合は、上司に訴えて、認識されている場合はその人との勤務しないように配慮してもらえるようになってきています。
あくまで配慮のレベルにはなってしまいますが、うつ病になったことがあると言うことで気を遣ってもらえる場面は増えるでしょう。
気を使われることがストレスとなるようならそこで決断はした方がいいでしょう。
以下の場合は、早く辞める、または辞めるために一刻も早く準備しましょう。
- 職員が少なく、そのパワハラをしてきた人とまた働かされるようなことがある。
- 職場環境の改善が全くみられない。
- 信頼して相談できる人が1人もいない。
- うつ病に対して職員の理解がない。
家族がいる場合は、早急に相談しておくようにしてください。
こんなところであなたの大切な心を守れるわけがありません。
仕事に未練がない場合は、心を壊してまで消防士でいる必要がありません。
もし、あなたが誰かを助けたくて消防士になったとしても、他の仕事でも人助けはすることはできます。
何より優先すべきはあなたの心です!
退職したくても職場に行けれない人は、退職代行を使ってください。
最後に
消防士のうつ病は決して少ないものではありません。
凄惨な現場を経験して起こるより、職員間での人間関係でのうつ病の方が多く、人命救助に携わる職業なのにこんなことが消防ではあるんだと残念に思われるかもしれません。
理解してくれる人が増えてはきているものの、まだまだ組織が変わるには時間がかかるでしょう。
自分で自分を追い込まないようにしてください。
うつ病になってしまったのはあなたのせいではありません。
最善の方法を選び、自分の心、体をしっかり守る選択をしてください。
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